「電気代が高かったんだけど、内訳はどうなってるのかな?」 「そもそも電気代って何から成り立っているの?」 など、電気代の内訳について気になっていませんか。 この記事ではどんな家電がどれくらい電気を使っているのか、電気料金はどういう仕組みで決まるのかなど、毎月支払っているけど実はあまり知られていない電気代の内訳について解説しています。 電気代の内訳を知ることで、電気の使用状況の見直しや電気代の削減に生かすことができるようになります。 記事の後半では実際に電気代を節約するための具体的な方法もあわせて紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
小売電気アドバイザー・デジタル庁公認デジタル推進委員。個人・法人向けに電力プランのコンサルティングを行う傍ら、電力小売りに関する複数のWEBメディアの記事監修を行う。各種プランに精通しており、シミュレーションシステムの構築・料金比較サイトの運営にも携わる。電力業界の専門家として各種メディアの取材歴多数。「電気代節約の専門家インタビュー掲載」続きを表示 ▼
目次
電気代の明細内訳
電気代の明細には、総額としての電気代や総量としての電気使用量の他に、細かな項目にわかれた料金や使用量が記載されているのを目にしたことがあると思います。 料金明細の内訳は①基本料金②電力量料金③その他の料金(燃料費調整額・再エネ賦課金)から成り立っています。
電気代の内訳を知るために欠かせないものなので、初めにそれぞれの項目を簡単に見ていきましょう。
基本料金
基本料金とは、電気を使わなくても毎月支払う料金のこと。電気を契約すること自体に発生している費用です。
基本料金は契約アンペア(A)や地域によって料金に差があり、おおよそ300円~2,000円の範囲の中から決まります。一般的に1~2人暮らしの方なら800円程度、ファミリー世帯なら1,200円程度支払っていることになります。
なお関西・中国・四国・沖縄では「最低料金」と呼ばれ、400円程度がかかっています。
また、電力会社によっては基本料金(最低料金)を0円にしているところもあります。
電力量料金
電力量料金とは、電気を使った分だけ支払う料金のこと。「従量料金」と呼ばれることもあります。
「電気の使用量(kwh)×単価(円)」で計算されて決まります。
単価は電気の使用量に応じて3段階設定されていて、電気を使うほど高くなるのが一般的です。それぞれの段階の料金の合計が、電力量料金の合計となります。
節電した際に電気代の節約に直結するのがこの電力量料金の部分です。
その他の料金
上記の2つに加えて、燃料費調整額、再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)といったプラスαの費用が発生します。 燃料費調整額は化石燃料の輸入価格の変動分を調整するため、価格変動に応じて請求される料金です。輸入価格が値上げされた月はプラスになり、逆に値下げされた月はマイナスになります。 再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーによって発電した電気を電力会社が買い取る際の費用を利用者全員で負担するための費用です。全国一律で単価が決められていて、どこの電力会社を利用していても同額がかかります。 ともに額としては微々たるものですが、電気を契約する上でかかる諸経費とイメージすると分かりやすいでしょう。 また、電力会社によっては独自の割引を用意していることもあり、そうした電力会社ではここに割引額として記載される場合もあります。
電気代の使用量内訳
月々の電気代は総額としては分かっても、どの家電が電気代のうちどれくらいの割合を占めているのかなどは詳しく分かりませんよね。 ここでは経済産業省資源エネルギー庁が発表しているデータをもとに、電気使用量の内訳を家電の消費電力の割合から見ていきましょう。
消費電力の割合は?
1年間の家電別の電気使用量の割合です。様々な家電にまんべんなく電気が使われていますね。 特に冷蔵庫や照明器具、テレビ、エアコンといった日々の生活に欠かせない電化製品が多くを占めていることがわかります。 24時間稼働し続け、かつ一定の温度に保たなければならない冷蔵庫は最も多く電気代がかかります。続いて使用頻度が高く、長時間使う照明器具の消費電力も多めです。 テレビは稼働中だけでなく、コンセントにつないでいる間も電気を消費するため消費電力の割合が高く、エアコンは起動時に多くの電力を使うため、短時間の稼働時間でも消費電力が多くなります。 その他、電気温水器や電気便座、電気ポットなど発熱を必要とする機器も電力消費が多いことが見て取れます。 それでは、これらの家電は月々の電気代に換算するとどれくらいの料金になるのでしょうか。 3つのモデルケースで試算してみます。
家電別1ヶ月あたりの電気代
1.電気使用量が少ないケース
一か月の電気代が約5,000円になるような方を想定して計算します。基本料金は800円として、残りの4,200円をそれぞれの家電の割合で割り振っていきます。
家電 | 電気代 |
---|---|
電気冷蔵庫(14.2%) | 596円 |
照明器具(13.4%) | 562円 |
テレビ(8.9%) | 373円 |
エアコン(7.4%) | 310円 |
電気温水器(5.4%) | 226円 |
エコキュート(3.8%) | 159円 |
電気便座(3.7%) | 155円 |
その他(43.2%) | 1,814円 |
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冷蔵庫、照明器具に600円弱、テレビやエアコン、その他電化製品に数百円ずつの電気代がかかります。 1~2人暮らしで月5,000円程度の方は上記金額を目安としてみてください。
2.電気使用量が平均的なケース
続いて、一か月の電気代が約10,000円の場合を想定します。基本料金を1,200円として、残りの8,800円を元にそれぞれ算出します。
家電 | 電気代 |
---|---|
電気冷蔵庫(14.2%) | 1,249円 |
照明器具(13.4%) | 1,179円 |
テレビ(8.9%) | 783円 |
エアコン(7.4%) | 651円 |
電気温水器(5.4%) | 475円 |
エコキュート(3.8%) | 334円 |
電気便座(3.7%) | 325円 |
その他(43.2%) | 3,801円 |
冷蔵庫、照明器具が1,000円を超え、残りの電化製品が月に数百円ずつかかっています。 ファミリー世帯では電気代が10,000円程度になるのが一般的ですので、家族で暮らしている方は一つの目安としてください。
3.電気使用量が多いケース
最後に、一か月の電気代が約15,000円となる場合で計算します。基本料金は1,200円で、残りの13,800円を振り分けます。
家電 | 電気代 |
---|---|
電気冷蔵庫(14.2%) | 1,874円 |
照明器具(13.4%) | 1,768円 |
テレビ(8.9%) | 1,174円 |
エアコン(7.4%) | 976円 |
電気温水器(5.4%) | 712円 |
エコキュート(3.8%) | 501円 |
電気便座(3.7%) | 488円 |
その他(43.2%) | 5,702円 |
冷蔵庫、照明器具、テレビが1,000円を超え、エアコンが1,000円弱、その他電化製品が数百円ずつかかります。 家族が多い家庭や、たくさん電気を使った月などで15,000円程度になる方はこれらの数字を参考にしてみてください。 なお、夏や冬ではエアコンの使用頻度が高くなり、電気代に占める割合もエアコンが大きくなります。
夏で全体の58%、冬でも30%がエアコンで占められています。7~9月、12~2月といった時期はエアコンによる電気代の圧迫が大きいことも頭に入れておくといいでしょう。
電気代を節約するには
電気料金や使用量の内訳が分かると、電気代の節約にもつなげることができます。 以下の表は世帯別の電気代の平均額をまとめたものです。自分の電気代が平均よりも高い場合は、電気代の節約も検討してみましょう。
世帯人数 | 平均 |
---|---|
1人暮らし | 5,700円 |
2人暮らし | 9,654円 |
3人暮らし | 11,116円 |
4人暮らし | 11,761円 |
5人暮らし | 12,945円 |
ここでは効果的な電気代の節約方法を3つ紹介します。
家電の使用方法を見直す
家電ごとの電気代の内訳を見て、特に電気をたくさん使っている家電はどれなのかが見えたと思います。 電気代が高い家電の中で、冷蔵庫など使いっぱなしにしなければならないものを除き、照明器具やテレビ、エアコン、電気便座、電気ポットなど使用頻度を減らせるものは積極的に減らしましょう。 照明は頻繁に消すよう心掛けたり、エアコンでは設定温度を少し高く(冬場は低く)するなどの工夫をしてみましょう。エアコンでは温度を1℃変えるだけで5~10%の消費電力を減らせると言われています。 このように、消費電力の割合が大きく電気代が高くなりがちな家電を特定し、使用方法を見直すことで電気代の節約が見込めます。
待機電力を減らす
待機電力とは、家電を使っていないのにコンセントに挿しているだけで流れてしまう電気のことです。リモコンなどの機能を維持するために、常に微量の電気を消費しています。 待機電力は家庭の消費電力のうち5%を占めていると言われています。家を空けるときや普段使っていないときは、家電をコンセントから抜くように意識しましょう。 機器によって頻繁なプラグの抜き差しが推奨されていないものもありますが、そうした場合はスイッチの付いたケーブルでOFFにしておくと待機電力をカットできます。 春や夏はエアコンのコンセントを抜いておく、不在時はテレビのコンセントを抜いておく、使わないで済む場合は電気便座のコンセントを抜いておくなど、こまめな心掛けで待機電力を減らすようにしましょう。
プランや電力会社の変更も検討する
上記2つを取り組んでもまだ電気代が高い場合、こまめな節電が難しいという場合は料金プランや電力会社の変更を検討してみるのもおすすめです。 現在は電力自由化により自由に選べるようになったので、自分のライフスタイルに最適な料金プランや電力会社が見つかるかもしれません。 例えば契約アンペアが大きく基本料金の高さに困っている方は基本料金0円の電力会社(Looopでんきなど)に、家族が多く家電の使用量を抑えられない方は単価が安い電力会社(エルピオでんきなど)にそれぞれ乗り換えるなど、自分に合った会社へ変更してしまう手もあります。 電力会社やプランの変更は基本的に無料ででき、工事なども発生しないので気負わずに一度試してみると良いですよ。
まとめ
料金明細の項目や、家電別の消費電力の割合など電気代の内訳について詳しく見てきました。 毎月請求されていた電気代の中身が明確になることで、電気の使用状況の見直しや節約意識も高めることができたかと思います。 省エネや節電を心掛け、電気を上手に使う生活を始めていきましょう。