一人暮らしなのにこんなに電気代が高い原因は?安くする方法は?と気になっている方が多いでしょう。 電気代が高くなってしまう原因は、ただの電気の使い過ぎだけとは限らず、古い家電を使っていたり、余計な待機電力が発生していたり、漏電していたりなどの様々な理由が考えられます。 また、もちろん電気の使用量を抑えることも重要ですが、そもそもの電気料金を安くする具体的な方法も一緒に確認していただきたいです。 この記事では、最初に電気料金の基本情報からお伝えし、電気代が高くて困っている方のために6つの原因と対処法、さらに安くする方法まで紹介しているのでぜひ最後までご覧ください。
小売電気アドバイザー・デジタル庁公認デジタル推進委員。個人・法人向けに電力プランのコンサルティングを行う傍ら、電力小売りに関する複数のWEBメディアの記事監修を行う。各種プランに精通しており、シミュレーションシステムの構築・料金比較サイトの運営にも携わる。電力業界の専門家として各種メディアの取材歴多数。「電気代節約の専門家インタビュー掲載」続きを表示 ▼
目次
電気代に関する基本情報
まずは、電気代に関する基本情報として「電気使用量と電気代の関係」「一人暮らしの電気代の目安」について紹介していきます。 すでに知っている人は次章の『電気代が高くなる6つの原因』から読み進めてください。
電気の使用量と料金の関係
電気料金の計算方法はそれぞれの電力会社によって異なりますが、一般的には最低限かかる「基本料金」と電気の使用量分だけかかる「従量料金」の2つの合計額で算出されています。 つまり、電気の使用量が増えれば増えるほど電気代が高くなっていく仕組みです。
後ほど詳しく紹介しますが、2016年からはじまった電力自由化に伴い、従来の電力会社から新電力への切り替えが可能になり、基本料金と従量料金の単価自体を安くできるようになりました。 しかし、新電力に切り替えてもそこまで安くならない場合があるので、根本的な原因として普段の電気使用量を見直すことが重要です。
電気代の目安はどれくらい?
自宅の電気代が高いのか安いのかを判断するための目安として、総務省が発表している電気代の平均をご覧ください。 電気代は季節や住んでいるエリアによっても大きく異なるので、それぞれ細かく表記しています。
1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 | |
---|---|---|---|---|
北海道・東北 | 7,074円 | 5,041円 | 4,549円 | 5,194円 |
関東 | 6,960円 | 4,996円 | 4,601円 | 4,855円 |
北陸・東海 | 8,085円 | 5,954円 | 4,272円 | 5,608円 |
近畿 | 6,471円 | 4,998円 | 4,268円 | 5,353円 |
中国・四国 | 7,057円 | 5,496円 | 5,291円 | 5,293円 |
九州・沖縄 | 6,373円 | 4,659円 | 5,566円 | 5,073円 |
全国平均 | 7,003円 | 5,191円 | 4,758円 | 5,229円 |
出典:総務省統計局|家計調査 家計収支編 単身世帯 2019年より作成
住んでいる地域にもよりますが、冬の寒い時期になるとエアコンを使う機会が増えて約8,000円/月まで高くなると考えられます。 ただし、そこまで家電を使っているつもりはないのに目安よりも電気代が高い人は原因を調べてみる必要があるでしょう。
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なぜ一人暮らしの電気代が高い?考えられる6つの原因
電気代が高くなってしまう主な原因として、次のようなものが挙げられます。 1.家電の使い過ぎ 2.古い家電を使っている 3.余計な待機電力がある 4.電気プランが適していない 5.漏電やメーターの故障など 6.燃料費調整額が上昇している(2022年以降) それぞれ対処法とあわせて見ていきましょう。
1.家電の使い過ぎ
まず電気代が高くなってしまう原因として、家電の使い過ぎで電気の使用量が増えることが第一に考えられます。 なかでも、消費電力の大きい家電を使うと電気代が高くなりやすいので、代表的な生活家電の中ではエアコン・乾燥機・ドライヤー・冷蔵庫の4つの使い過ぎに注意しましょう。
家電 | 電気代 |
---|---|
エアコン | 1時間あたり約21円 |
乾燥機 | 1時間あたり約32円 |
ドライヤー | 1回(10分)あたり約4.5円 |
冷蔵庫 | 1日あたり約162円 |
これらの家電は熱を発したり、冷やしたりするため一度に消費する電力が多いです。 特に夏場の暑い時期や冬場の寒い時期になると、ついエアコンを使いすぎてしまいますよね。1時間ごとに電気代が約21円もかかってしまうので、仮に1日あたり5時間を毎日使った場合は、エアコン代だけで月合計3,150円にもなります。 そのため、電気代を安くするにはまずはエアコンの使い方を見直しましょう。設定温度を1℃変えるだけで5~10%の消費電力を減らせます。 他にもサーキュレーターを同時に使ったり、30分以内の外出ならつけっぱなしにする、フィルターをまめに掃除するなどの工夫で高くなりがちなエアコンの電気代を節約できます。
2.古い家電を使っている
次に、10年以上前の古い家電を使っている場合は電気代が高くなると考えられます。 最近の家電では消費電力を抑えるための技術が発達していますが、古い家電を使い続けている場合は2020年現在のモデルと比べて倍ぐらいの電力を消費することも珍しくありません。以下の表では冷蔵庫の消費電力を比較しました。
発売年 | 製品名 | 消費電力 |
---|---|---|
2007年 | MR-G52N-BR | 530Kwh/年 |
2020年 | MR-CD41F-BR | 299kWh/年 |
もちろんスペックの問題だけでなく、家電は古くなるほど劣化していって電力消費の効率が落ちていくので、電気代を節約するためには新しい家電に買い替えた方が良いでしょう。 一人暮らしの方では、実家にあった古い家電を持ってきて使っていたり、リサイクルショップで安く購入したということも多いと思います、 買い替えの時期が近付いているなら、特に長い時間使う冷蔵庫やエアコン、洗濯機は最新のものを検討してみてください。
3.余計な待機電力がある
余計な待機電力があるせいで電気の使用量が増えてしまい、電気代が高いのかもしれません。 待機電力とは、家電を使っていないのにコンセントに挿しているだけで流れてしまう電気のこと。リモコンやタイマーなどの機能を維持するために常に微量の電気を消費しています。 つまり、家電をコンセントに挿しているだけで電気を消費しているということです。 関東電気保安協会によると、待機電力は一般家庭だと消費電力のうちの約5%を占めているらしいですが、人によってはコンセントの挿し過ぎで5%を超えている場合があります。
家庭における一世帯あたりの待機時消費電力量は平均で228kWh/年・世帯であり、家庭の一世帯あたりの全消費電力量(4,432kWh/年・世帯)の5.1%に相当します。引用:関東電気保安協会
使っていない家電はコンセントからプラグを抜くようにしましょう。これだけで、待機電力の約50%を節約できると言われています。 ただし機械によってはコンセントから外せないもの、頻繁なプラグの抜き差しが推奨されていないものもあります。そうした場合は主電源を落とすだけで待機電力を1/3に減らせます。また、スイッチ付きのケーブルを使いOFFにしておくことで、プラグを抜いたのと同じ効果を得られます。
4.電気プランが適していない
電気代が高い4つ目の原因として、そもそも自分のライフスタイルや状況に適した電気プランを契約していないことが考えられます。 具体的には、 ・無駄に大きなアンペア数で契約している ・使用量に合わないプランで契約している ・時間帯によって料金が変わるプランを上手に利用できていない といった理由が考えられるので、自分が契約中の電気プランを見直すことが重要です。 アンペア(A)とは、一度に電気を流せる容量のことです。大きいほど多くの電気を使えますが、その分電気代の「基本料金」が高くなります。 一人暮らしなら30アンペアで十分です。40Aの方は、不必要に大きいアンペアで契約していると判断していいでしょう。 自分が契約しているアンペア数はブレーカーや電気の検針票(料金明細)を見れば確認できます。アンペアの変更方法は次章の『電気代を安くする2つの方法』で詳しく紹介しますね。
5.漏電やメーターの故障など
他にも、可能性は低いですが電気代が高くなる原因として漏電、メーター故障、誤配線、盗電などが考えられます。 漏電は電線の故障だけでなく、家庭内でコンセントが浸水していることで生じる場合もあります。また、電力メーターの不具合や隣室との誤配線、盗電によって電気代が過剰に請求されている可能性も0ではありません。 上で紹介してきた原因を解決したのに電気代が以上に高いという場合は、これらの要因が考えられます。疑わしい場合はすぐに電力会社に連絡をしたり、自分でできる対策を行いましょう。
6.燃料費調整額が上昇している
ロシア・ウクライナ情勢や急激な円安、世界的なインフレといった昨今の社会情勢により、2022年以降、電気代の「燃料費調整額」が急上昇しています。
燃料費調整額とは、発電に使う化石燃料などを海外から輸入する際にかかる費用を調整する料金のこと。昨今は世界的に化石燃料の供給量が不足し、さらに円安による輸入価格が上昇したことからこの燃料費調整額が以前より大幅に上昇しました。
※東京電力(従量電灯B)の場合
燃料費調整額 | 2021年5月 | 2023年5月 |
---|---|---|
1kWhあたり | -3.64円 | +5.13円 |
燃料費調整額は地域や電力会社によって異なりますが、例えば東京電力では2021年5月と比べ、2023年5月は1kWhあたり8.77円も上昇しています。 一人暮らしの一般的な電気使用量である120kWhでは、1,052円/月の上昇です。エアコンなど電気使用量が多い人の場合(300kWh)は、2,600円/月以上もの値上げとなっています。 電気使用量が変わらない、むしろ節電しているのに電気代が高いと感じる方は、この燃料費調整額の上昇によるものと考えられます。 なお、燃料費調整額は2022年末~2023年初頭をピークに、足元では下落傾向にあります。そのため、冬に感じたような高騰感は落ち着くと考えてよいでしょう。
地域・世帯人数からお得な電力会社を探せます
一人暮らしの電気代を安くする2つの方法
ここまでは電気代が高くなる原因をお伝えしてきたので、ここからは一人暮らしの電気代を安くするための具体的な方法を2つ紹介します。 一つは「アンペア数を変更する」、もう一つは「電力会社を切り替える」ことです。 どれだけ電気の使用量を抑えたとしても、そもそも契約しているアンペア数や電力会社の電気料金が高ければ意味がありません。 電気の使用量と同じくらい、現在の契約内容についてもしっかり確認しておきましょう。
アンペアを変更する
地域によって異なりますが、アンペア数によって基本料金が決まっているので、アンペアを変更すれば電気代が安くなります。 先述したように、アンペアとは一度に使える電気のことなので、これまで電気を使っていて一度もブレーカーが落ちたことがない人はアンペア数を下げても問題ないかもしれません。 先述した通り、一人暮らしなら30Aで十分です。自炊をしない、家電も最小限しか持ってないという方は20Aでも足りるかもしれません。ぜひ電力会社へ連絡し、アンペア変更を申し込みましょう。
エリア | 変更の申込窓口 |
---|---|
東京電力 | 申し込みはこちら |
北海道電力 | 申し込みはこちら |
北陸電力 | 申し込みはこちら |
東北電力 | 申し込みはこちら |
中部電力 | 申し込みはこちら |
九州電力 | 申し込みはこちら |
関西電力 | アンペアなし |
中国電力 | アンペアなし |
四国電力 | アンペアなし |
沖縄電力 | アンペアなし |
余計に高くなっているアンペア数を引き下げることで、電気料金を年間で3,000円~6,000円ほど節約できるので一度試してみてください。 ※関西・中国・四国・沖縄エリアでは、もともとアンペアの仕組みが使われていません。
電力会社を切り替える
現在は電力自由化によって、従来の電力会社以外の新電力も契約できるようになり、電気料金が安いサービスを選ぶことができます。 新電力の料金プランは様々なので、自分の生活スタイルをあらかじめ把握しておくことが安い電力会社を見つけるための重要なポイントです。
●ほとんど電気を使わない一人暮らし(平日は仕事、休日も外出)
⇒一律100円割引のCDエナジー「シングルでんき」プラン
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●平均的~多めの一人暮らし(家にいる時は家電を使う、在宅勤務をしている、休日は家にいる)
⇒電気をたくさん使う人ほどお得なCDエナジー「ファミリーでんき」プラン
詳しくはこちら→『CDエナジー公式ホームページ』
具体的に節約できる額は人によって異なりますが、年間5,000円程度の節約も可能でしょう。 電力会社を変更するだけでこれだけの電気代を節約することができるので、電気代が高くて困っている方は一度検討してみましょう。 また、当サイトでは電気代の詳細なシミュレーションを通してお得な電力会社を探せるサイトも別途運営しています。
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お住まいの地域と世帯人数を入れるだけで、安い電力会社のプランがランキングで表示されます。ぜひお得な電力会社を探す際に活用してください。
まとめ
ここまで、一人暮らしの電気代が高くなる原因と、電気代をより安くする方法についてお伝えしてきました。 自分の電気代が高くなる原因を突き止め、解決していくことで確実に電気代は安くすることができます。また、あわせて電力会社の変更も検討することで、今よりもっと電気代をお得にすることができます。 高い電気代を放置せず、できることから一つずつ実施して電気代を節約していきましょう。